山の辺の道
文史・昭和五十三年卒 服 部 登 紀 子
鵯(ひよ)鳴き移る石上布留の森
昼灯す参道に冷えかすかなる
布留の宮覆ひ尽せる鰯雲
秋うらら伏せてまどろむ神の鶏
七支刀の銘文拾ひ読みて秋
山の辺の道歩まむか野路の秋
御陵への道や日に照る榠樝(かりん)の実
祟神陵いま秋風の湧くばかり
その中の一羽水脈引く濠の鴨
陪(ばい)塚(ちょう)は雑木紅葉の真っ只中
茸踏み散らしてありぬ古墳山
墳丘に立ちて大和の秋惜しむ