今年度は、佐保会の現顧問である水谷令子様を講師にお迎えし、豊富な海外経験をもとに、「砂漠の水文化」の演題で、少雨地域の生活文化について、1時間ほどご講演をいただきました。

 夏に畑の草抜きをしながら、水が乏しく雑草も生えない地域に思いを馳せられ、この演題に決められたとのことです。砂漠で暮らす人々は、貴重な水を水差しに入れて、お客様に手を洗ってもらうことでおもてなしの気持ちを表すと話され、「水差し」という道具の用途を再認識し、美しい風習だと感じました。スライドの資料にもある通り、中央アジア(ウズベキスタン、カザフスタン、トルクメニスタンなど)の乾燥地帯の生活水を調査された際、大腸菌検査がほとんどプラスで真っ赤になってしまったと聞き、驚きました。浄水処理は簡単なろ過と消毒のみで、水道水であっても水量や水質に不安があり、時間給水や砂が混じることもあって、タンクやカメなどに貯水することが多く、従って、食器洗い、洗濯、シャワー、トイレなどに水を使いすぎない工夫をしていること、排水パイプや水栓から慢性的に漏水し、メンテナンスの不備が見られたことなどを知りました。時に塩素のにおいが気になるほど、ありとあらゆる方法で水を殺菌している日本とは大きく事情が異なります。料理についても、日本では、「水にさらす」、「だしをとる」など水を使うのが当たり前ですが、外国では水を使わない調理法を用いるということです。

 その他、トルファン盆地の多種多様な品質の干しブドウ、カレーズ(地下灌漑)、縮小するアラル海、石油運搬と労働者のための中国の砂漠公路、トルクメニスタンの水売り、ナボイ劇場の噴水(水が豊富だと周りにアピールするためだとか)、水分補給用のスイカの山等々、初めて耳にするような言葉や異国情緒あふれる風景が次々と登場し、すっかりお話に引き込まれてしまいました。一般の方も5名参加していただき、講演後も多くの質問の手があがりました。旅行中の現地の飲み水は主に炭酸入りだったそうで、やはり沸かしたお茶を用意していって飲むのが一番ですよと最後におっしゃられたのが、印象に残りました。

 以上、拙いまとめとも感想ともつかないもので申し訳ありませんが、報告とさせていただきます。スライドの資料も掲載させていただきましたのでご覧ください。